吉田「で、審判員て何すんの…」
アゲ「あれ、もう抵抗やめたんです?」
吉田「刺激したら殺されそうだし、ほら、さわらぬ神にたたりなしっていうか…」
アゲ「アッハハ、ボク天使ですけどね、なんもしませんよ。今回君が呼ばれたんはボクらの仕事のお手伝いですから」
吉田「審判員って裁判員みたいなことすんの?これは死刑!とか情状酌量しろ!とか意見するやつ?」
アゲ「そうですよ」
吉田「俺だけなの?あれ6人とかいない?」
アゲ「俗世はそうなんでしょうね?まあ今回はお試しなんですわ。…ほら、ボクらがどんだけ頑張ったところで俗世の文化やなんやを隅々まで理解できるわけやないんですよ、さっきも言うたとおりボクは天使で、神やないですから」
吉田「俗世?の?文化?とやらに俺が詳しいわけでもないと思うけど?」
アゲ「せやから今回、お試しなんですって。君は今夢を見ています。体は眠りについてるんですわ、その間ちょっと精神をこちらにお借りしてるわけです」
吉田「言ってる意味が全然わかんないけど続けて」
アゲ「もう心が無の境地ですね。…まあこの制度がホンマこれから本格的に実施されるかは君次第なんです。今日東京支部の方が来はってるんもその件で…、まあ正直な話、ここの長(ちょう)のペテロはんが不在の今、君が今日だけで帰れるとは思いませんので、覚悟しといてください」
吉田「ああ…うん、…えー…そうだな、…ここ叫んでも平気?」
アゲ「どうぞ?」
吉田「(息を吸い込む)はああああああああああああああああああああ何やってんだペテロおおおおおおあああああああああああ!!!」
アゲ「アッハハハハハ!…は〜…いやぁ、ホンマに君は持ってる子ですねえ、まさか選ばれたんが君やとは夢にも思いませんでしたわ」
吉田「はあ、はあ…こんなもんペテロによる不正行為だろ!絶対そうだろ!!」
アゲ「そんなことしはらへんと思いますよ、そういう立場のお人ですから」
吉田「俺の中のペテロ像はそんなことするんだけど?」
アゲ「奇跡的確率ですけど、さすがに…まあでも最終候補の数名から君を選んだんはペテロはんでしょうな」
吉田「…うん、な?あいつそういうやつなんだよ」
アゲ「あのたった10分ほどの逢瀬で植えつけられたイメージでそこまで」


ステ「はい、お茶どうぞ」
東京「…あの」
ステ「なんです?」
東京「近畿支部のペテロ様は?」
ステ「おりません」
東京「今日お伺いすると、お伝えしておいたのですが」
ステ「はあ、お声が小さかったんかもしれませんねえ、ウチも聞いてませんでしたし…」
東京「ペテロ様にはちゃんと」
ステ「そうですねえ、まあウチやったら、トップだけやなく対応者と受付にも事前連絡いれとくとこですね…ああ、これはウチやったらの話です。
…それやったら弊部のペテロをしばりつけて今ここに座らせとくこともできたんですけどねえ、申し訳ないですわあ」

東京「…いえ、こちらこそ、申し訳ございません」

つづく